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月別アーカイブ: 2025年4月

第10回塗装工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社エムアンドエム、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~育成~

ということで、今回は、塗装業界の人手不足の背景、育成がうまくいかない理由、そして今後の対策について、現場の視点と経営の視点を交えて深く掘り下げていきます!

 

 

建物を美しく、そして長持ちさせるために不可欠な「塗装工事」。
しかし今、その塗装業界は深刻な課題に直面しています。

それが、「人材不足」と「育成の停滞」です。

 「若い人が入ってこない」
 「教えたいけど教える余裕がない」
 「せっかく育てても辞めてしまう」


塗装業界における人手不足の現状


① 高齢化と若年層の減少

  • 現在、塗装職人の約3割が50代以上

  • 20代の入職者は全体の1割以下とされており、次世代が育たない構造が続いています

このままでは、10年後に塗れる職人がいなくなるという声も現実味を帯びています。


② 3Kのイメージと職業魅力の不足

  • 「キツイ・汚い・危険」なイメージが強く、若手が敬遠しがち

  • 作業内容が見えにくく、「職人=将来が不安定」という誤解も根強い

技術力が評価されにくく、「塗装職人=つぶしがきかない仕事」と思われている現状があります。


③ 離職率の高さと定着しづらさ

  • 入社後1年以内の離職が多く、「思っていた仕事と違った」という声が多い

  • 教育不足や職場環境の未整備が、定着率の低下を招いています

 人材が「来ない」「育たない」「残らない」この三重苦が今の塗装業の現実です。


なぜ育たない?人材育成のボトルネック


OJT頼みの“感覚的教育”

  • 「見て覚えろ」「体で覚えろ」という指導が主流

  • 手順や技術が体系化されておらず、人によって教え方もバラバラ

 結果、新人が「何をどこまでできれば一人前なのか分からない」という状態に。


教える人が“教えられる人”ではない

  • ベテラン職人の中には、優れた技術を持ちながらも、言語化して伝えるのが苦手な方も多い

  • 忙しい現場で教育の時間がとれず、育成が後回しになる現場も少なくありません

 技術を「持っている人」と「教えられる人」は別物なのです。


 成長と報酬が連動しない評価制度

  • 「何年働いても給与が上がらない」

  • 「資格を取っても現場での扱いが変わらない」

  • モチベーションが下がり、離職につながる

キャリアパスや昇給制度が不明確だと、若手は「この先どうなるのか」が見えず不安になります。


人材を育て、活かすためにすべき5つの対策


 ① 教育ステップの“見える化”とスキルマップ導入

レベル 習得技術例
Lv.1 材料運搬、養生、基本的な道具の名称理解
Lv.2 ハケ・ローラーの基本操作、下塗り作業
Lv.3 中塗り・上塗り、仕上げのムラ調整
Lv.4 施工管理補助、安全管理、現場リーダー補佐
Lv.5 見積もり・お客様対応・現場全体の管理

 成長の段階と目標が見えると、やる気も定着率も高まります。


 ② 動画・写真・マニュアルによる“視覚教育”

  • ハケの動き、塗り方のコツ、養生のやり方などを動画や写真で解説

  • 「見て覚える」を、「見て学ぶ」に変える

  • スマホでいつでも復習できる環境を整備

若手世代には、“感覚”より“視覚”が響く時代です。


 ③ 教える人=“教育担当”の育成と評価

  • 教育担当者に「教える力」をつける研修を実施

  • 「誰を、どう育てるか」という計画づくり

  • 教えた実績を評価して、モチベーションもアップ

「教える文化」を現場に根づかせることが、育成の第一歩です。


 ④ 外国人・女性・中高年層など多様な人材の活用

  • 外国人技能実習生・特定技能者への多言語対応・文化理解

  • 女性でも働きやすい作業環境(軽量道具、着替えスペース)

  • 50代以降の未経験者を受け入れる「リスキリング」制度

多様な人材が活躍できる現場は、強い組織になります。


 ⑤ 働き方とキャリアの“未来像”を描く

  • 昇給・資格手当・役職制度の整備

  • 「3年後には班長に」「5年後には現場責任者に」という道筋を明示

  • 独立支援や法人化サポート制度の構築

「未来が描ける会社」は、若手にとって選ばれる会社です。


“塗装の魅力”を伝える取り組みも必要


塗装は、ただの仕上げではありません。
建物を守り、彩り、長持ちさせる技術です。

しかしその価値が、社会にも若者にも正しく伝わっていないのが現状です。

そこで、次のような取り組みが求められます

  • SNSやYouTubeを活用した職人のかっこよさの発信

  • 中学校・高校での職業講話やインターンシップの実施

  • お客様と塗装職人をつなぐ現場見学・体験イベントの開催

技術を“伝える力”も、次世代に受け継ぐための大切な仕事です。


育てることは「業界の未来をつくること」


塗装の仕事は、手に職を持ち、技術で勝負できる素晴らしい仕事です。
しかし、その未来を支えるには、「人を育てる力」が不可欠です。

明確な教育ステップ
教える人の育成
働きやすい環境とキャリアの見える化
多様な人材の受け入れ
業界全体での魅力発信

これらの取り組みが積み重なって、
「選ばれる塗装業界」「誇れる職人業界」へと変わっていきます。

 

 

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第9回塗装工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社エムアンドエム、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~確認事項~

ということで、今回は、塗装工事の品質を守るために重要な事前確認事項10選を、現場経験に基づいて深く解説します♪

 

「塗る」前の準備で、すべてが決まる
それが、塗装工事の現場でよく言われる言葉です。

実際、色むら・はがれ・膨れ・早期劣化といったトラブルの多くは、施工技術ではなく、“事前確認不足”が原因で起こります。


なぜ塗装工事に事前確認が必要なのか?


塗装工事は、工程上は「仕上げ」の段階ですが、
実は建物全体の保護・美観・防水・耐候性に関わる重要な工程です。

しかし塗装は目に見える部分が多いため、不具合がすぐに発覚しやすく、クレームに直結するリスクも高い工種です。

事前に確認すべきことを怠ると、次のような問題が発生します:

  • 塗料の選定ミスによるはがれや色あせ

  • 下地処理不足による浮き・ふくれ・密着不良

  • 塗り回数や乾燥時間の誤認による耐久性不足

  • 養生ミスによる汚れ・破損・施主クレーム

これらのリスクを防ぐカギが、“塗る前の確認”=事前確認なのです。


塗装工事における事前確認事項《10のチェックポイント》


 ① 塗装仕様と塗料の確認

  • 塗料の種類(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機など)

  • 色番号・艶(つや)の有無・メーカー・製品名が合っているか

  • 期待耐用年数や塗り重ねの回数(1回・2回・3回)

  • 基材に合った塗料かどうか(木部・鉄部・コンクリート・サイディングなど)

仕様書・設計図・サンプルボードを現場で照合し、認識を統一します。


② 塗装面(下地)の状態確認

  • ひび割れ、はがれ、サビ、藻・カビ、汚れ、粉化(チョーキング)の有無

  • 外壁目地やクラック部に補修が必要かどうか

  • 前回の塗膜の種類と状態(旧塗膜が残るか・剥離が必要か)

下地処理の内容が“塗装の寿命”を左右します。状態に応じた処置が必要です。


 ③ 高圧洗浄・ケレンの必要性と範囲確認

  • 洗浄機の使用可否(電源・水源の有無)

  • ケレン(サビ落とし・旧塗膜除去)のグレード(1種~4種)

  • 洗浄後の乾燥時間(24~48時間確保)

「洗わずに塗る」は絶対NG。汚れの上から塗っても密着しません。


④ 塗装面積と施工範囲の確認

  • 図面上の数量と実際の面積の確認

  • 屋根・外壁・軒天・雨樋・破風板・鉄部・木部などの範囲と塗り分け箇所の整理

  • 施主との合意事項と照らし合わせる(色分け部・塗装しない部位)

「ここも塗るつもりだったのに!」とならないように、施工範囲の明文化が大切です。


 ⑤ 養生計画と周囲への配慮確認

  • 窓・ドア・サッシ・床・植栽などへの養生範囲・方法の明確化

  • 車両や近隣住宅への飛散対策

  • 養生材の品質(テープ跡が残らない素材の選定)

養生は「仕上げを守る仕事」。手抜きは即クレームにつながります。


⑥ 足場の設置状況・作業環境の確認

  • 足場の有無・配置・高さ・安全帯の使用可否

  • 塗装作業に支障のない動線確保

  • 工期内での足場解体タイミングの共有

安全かつ効率的な作業環境がなければ、品質も安全も確保できません。


 ⑦ 気象条件と施工スケジュールの確認

  • 気温5℃未満、湿度85%以上、雨天・強風時は原則NG

  • 乾燥時間(下塗り→中塗り→上塗り)を十分に取る

  • 天候による日程変更・順延時の調整ルール確認

「今日塗れますか?」は現場での最重要判断のひとつ。塗装は天候と対話する仕事です。


⑧ 塗布量と希釈率の確認

  • 塗料1缶あたりの標準塗布面積(㎡/缶)の確認

  • 適切な希釈(水・シンナー)の割合

  • 過度な薄めすぎによる性能劣化の防止

メーカー基準に沿わない塗布は、「塗ったのにすぐ剥がれる」原因になります。


⑨ 色・艶・仕上がりイメージの最終確認

  • 実際の色味とサンプルの比較(※天候や日照で色の見え方が変化)

  • 艶の有無(3分・5分・艶消しなど)

  • 建物全体との調和・近隣との景観への配慮

「思っていた色と違う」と言われる前に、カラーシミュレーションや試し塗りが効果的です。


 ⑩ 近隣対応・事前説明の確認

  • 塗料臭・騒音・高圧洗浄・車両出入りの事前説明

  • クレーム窓口と緊急連絡先の提示

  • 施工中のトラブル発生時の連絡体制

「良い工事だったね」と思ってもらえる塗装工事には、技術+近隣配慮が欠かせません。


塗装工事は「仕上げ」ではなく「信頼づくり」


塗装は、建物の“顔”をつくる工事であると同時に、信頼を目に見える形に変える工事でもあります。

その品質を守るためには、職人の腕だけでなく、

 現場の状態を読み取る力
 情報を共有するコミュニケーション力
 天候や材料をコントロールする段取り力

これらを総動員する必要があります。

そしてその全ては、「塗る前の準備=事前確認」に凝縮されているのです。


“塗る前にすべきこと”が、塗装の命を決める


高品質な塗装工事とは、
 正しい材料を
 適切な工程で
 安全に、美しく、長く保つように施工すること。

そのためには、事前に「塗ってはいけない条件」「確認すべきこと」をすべて押さえる必要があります。

「確認してから塗る」ことが、
“5年後・10年後にも誇れる仕上がり”をつくるプロの仕事です。

 

 

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